信じられない大地震(カンタベリー地方、東日本大震災)

本来ならばニュージーランドからのブログは4月で最後になる予定でした。

2011年2月22日 12:51pmに私の住んでいるニュージーランドのクライストチャーチで大地震が発生しました。
M6.3の大地震が2010年9月(M7.1)に引き続き、ガーデンシティーとして名高いニュージーランド第二の都市(人口約40万人)を襲いました。
丁度その時、私はオークランドの自宅付近のカフェで商談中でした。紛れもない「自宅の売却」の話を進めていたのです。何故なら予定では今月日本に帰国する予定でしたので。もちろん昨年11月にオープンしたCafe&Bakery
KERI KERI(ケリケリ)への本格経営参画の為、拠点を日本に移す準備の真っ最中でした。

クライストチャーチは私の住んでいる北島とはかなり離れた場所にあり、オークランドは北島に位置しますので、今回の地震の影響は全くなかったのですが、私の現在勤めているHarcourtsという不動産会社(NZ最大規模)はその販売拠点は南島、そうクライストチャーチに集中している会社なのです。
早速、ビルや一般住居の倒壊の生々しい状況や事務所の現状等が次々と入って来ました。そして安否を確認するメールやCEOからのメッセージやら、とにかく「混乱」を来たしていました。我々エージェント達も当然今回の地震で自宅の被害を受けた方も居ますし、販売中の物件が破損、倒壊した事例も沢山報告されて来ました。

中でも「心を打った」メールは、「家が壊れたり、電気やガス、電話が不通になったり、とにかく被害を受けたエージェントは、私のところに避難して下さい!」という今回の震災で被害にあわなかったエージェント仲間からのメールが沢山取り交わされていたのです。
オークランドや北島の人達からもその後、「仕事を探しているのであれば何時でも来て下さい!」とか、住むところに関する助け合いの情報交換はされ続けていました。美しい「連帯感」というか、チームスピリッツとしてTEAM HARCOURTSの素晴らしさも感じさせられました。

"絆"ですね。多民族国家で形成されているニュージーランド。ヨーロッパ系68%、マオリ(先住民)15%、ポリネシア系7%、アジア系9%、その他1%で構成されている総人口140万人の国です。その人種を超えた国としての"絆"を感じずにはいられませんでした。我々不動産エージェントも人種は様々です。街を歩けばいろんな言語が飛び交っています。もちろん公用語は「英語」ですが。

もう一つ、今回約240人の方の尊い命が失われました。心からご冥福を祈ります。そして私が13年前に海を渡ってニュージーランドに語学留学をきっかけにワーキングホリテイ(ギリホリでしたが)でここでの生活を始めたのですが、同じように「語学習得」や「新しい人生」等いろんな"想い"や"目標"を胸に、無残にもこの震災の犠牲になってしまった日本人の留学生の方々は自分にとって「後輩」も同然です。本当に悲しい結果になってしましました。私の経歴で「語学学校のカフェテリア経営」という経験もあります。合計2年半ほど、延べ数え切れない学生さんと接してきました。どうしてもその経験が交錯するのです。私のカフェテリアも古い(昔ホテルだったビルを語学学校として利用。確か20年以上の歴史を誇るオークランドでも有名な語学学校でした)ビルの6F(最上階)にあり、コーヒーブレイク(10:15am)とランチ(12:15pm〜)は大変混み合い、多くの学生さん達に愛され、彼らの空腹を満たして来ました。もちろん私も学生さん達よりは年がだいぶ上だったので「兄貴気取り」でいろんな話を聞いたり、話したり、そして今も交流のある方ももちろんいらっしゃいます。中には定年を迎え、新たに語学の習得の為に来たとか、人生の転換期で英語を学びに来た、とか私の先輩に当たる年齢の方も数多く来られていました。

CTVビルの倒壊とその中にあったキングス・エデュケーションの12:51pm。

私の中に蘇ります。きっと楽しく昼食を取り、慣れない「英語」でなるべく違う国籍の人を捜して話しかけたり、日本人同士昨日のネットのニュース(日本の出来事)を語り合ったり、新しい彼氏、彼女が出来て国際恋愛をスタートさせたばかりのカップル、仕事が見つかったり、見つからなかったり、フラットを探していたり、ホームステイの愚痴を語ったり.....
そんな学食や教室がこんな事になるなんて。

自然の恐ろしさを肌で感じた出来事でした。そして不動産屋としての意見ですが、この地震でクライストチャーチの不動産は「信用力」にクエスチョンマークが付けられてしまったようにも思えます。倒壊した「ブロック」の建物、液状化してしまった地面、そして多くの建物に「ヒビ」という爪痕を残した地震は、今後の不動産価格に大きな影響を与えた事でしょう。既に一部の地域では市場価格が高騰したり、もちろんオークランドには既に2万人の人々が移動してきていたり(当然不動産を購入して移住する目的)、商売を続けられなくなり(お店の倒壊、破損・全損、売上げ減等)ビジネス規模でも移転を迫られている方も多いと聞いています。

ニュージーランド第二の都市は今後どのように復興していくのでしょうか?
但し、私はこう信じたい!
必ず、クライストチャーチはまた息を吹き返す事でしょう。
昔から住み慣れた土地をそう簡単に諦める人は多くはないでしょう。

そこには人種をも超えた"絆"がありますからね。












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